誓いのフィナーレ初見感想

こんにちは、みなもです。

今日は4/19公開の映画『響け!ユーフォニアム 誓いのフィナーレ』の感想を書いていこうと思います。多量のネタバレを含むので未視聴の方は注意してください。


総評

  • 尺、足りてない!

これはまぁしょうがないんですけどね。逆に100分というアニメにして4話強の時間でよくここまでできたなぁという気もします。厚みに欠けると感じる部分はありますが必要最低限の要素を揃えて映画単体で見ても一応の筋が通るようにはなっていたと思います。とはいえ原作から削られて悲しかった、あるいは惜しいと感じたシーンが結構あり、キャラごとの感想のとこで都度書いているので気になった人は原作読んでください!

  • 演奏シーン、良すぎ...。

やっぱ劇場で聴くと最高ですよね。冒頭で奏とファーストコンタクトの前に久美子が『響け!ユーフォニアム』吹いてるので既に感情が溢れてくるのに、大吉山で孤高のトランペッターが『リズと青い鳥』のオーボエソロフレーズ吹いたり、サンフェスではかの大英雄佐々木梓を擁する立華高校の『ボレロ』が鳴り響いたり*1。そしてとどめは2年編北宇治のダブルエースによる万感の第三楽章。やはり鎧塚みぞれは圧倒的だということを我々と傘木希美は突き付けられるのです。

  • デザイン、良すぎ...。

PV公開時点である程度分かってたことではあるんですが、今作もキャラデザバッチリきまってました。新入生みんなかわいい。上級生の顔立ちも少し印象が変わってました。特筆すべきは優子の髪が微妙に短くなってて相対的に毛先カールが増してた点ですね。これ以上かわいくなってどうすんねんお前、お前、お前、、という感じで劇場で前後不覚に陥ってました。
サンフェスの衣装も女子すっごいかわいいですよね。ムビチケ特典のクリアファイルずっと眺めて公開待ってたんですけど、あの衣装がいざ動いたら破壊力高すぎて心がしんどかったです。男子の頭についてる青い羽は、求くんがつけてるぶんにはかわいい~ってなるけど塚本がつけてるの見たらちょっとおかしくて笑っちゃいました。ごめんなさい。

  • 見たことのある景色たち。

部室や教室、大吉山はもちろんですがその他にもアニメ版や映画で印象的だった空間がたくさん出てきて感動しました。久美子が奏に美鈴の相談を持ち掛けるとこはかつてみぞれが希美のフルートを聴いて吐き気を催していた場所だし、雨中の奏攻略シーンの終着駅は『リズと青い鳥』で希美が「神様、どうしてわたしに───籠の開け方を教えたのですか」と劇伴無音の中絶望を吐露する印象的なあのベンチでした。作品をこよなく愛するほどあらゆるシーンが味わい深くなる構造になってますね。。

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檻(2期1話)
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希美ベンチ(リズと青い鳥)

キャラ感想

黄前久美子

低音パートの新入生のトラブルを一手に引き受け解決していく主人公。映画でも大活躍でしたが原作では映画の3倍くらい活躍します*2
お決まりである麗奈との【距離の近い関係】に加えて今作では塚本との恋愛模様が一つのテーマとして描かれていました。あがた祭りの久美子、可愛すぎませんかね...。髪型は1年編合宿の夜にみぞれと会うとき(2期2話)に似てて見た目だけでも可愛いんですが、それに加えて秀一との祭を心から楽しんでる様子がキラキラしててあまりの輝きに絶句してました。

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いつもと違う髪型(2期2話)
ただ、そのあとに控えていた麗奈との大吉山デートでの静謐で湿ったあの雰囲気...あのシーンなんなんですか?真剣にPG12くらいのシーンが始まるかと思ってヒヤヒヤしたし、実際見た後はPG12にすべきだと思いました。子供が見たら沼に嵌りますよ。大人が見ても嵌るんですけど。
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PG12(誓いのフィナーレ)
髪型という観点ではもう一つ、奏攻略シーンで雨に濡れて髪がストレート気味になるところが印象的でした。
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雨久美子
奏に対して【先輩】として接することとその見た目から久美子が麻美子に重なって見えて「やっぱり姉妹なんだなぁ」と感じ入ってしまいました。久美子は【先輩】としての立ち振る舞いとして「あすか先輩ならどうするか」を第一に考えていますが、もっと根深い精神的成熟の目標としては麻美子の存在の方が先にあると思うんですよね。自覚しているかどうかは別として、【久美子先輩】はあすかより麻美子に似るんじゃないでしょうか*3
さて、2年生久美子の役割は恋愛やトラブル処理だけではありません。後輩指導と、久美子自身の演奏があります。加部ちゃん先輩と一緒に1年の指導係になり、その関係で指揮台に登壇する経験を積みます。滝先生が「あそこからはいろいろなものが見えるでしょう」と言うように奏者を俯瞰で見る視点を得たことによって久美子の表現者としての幅は広がっていると思います。かくして2年編ではユーフォの実質的エース奏者として揺るがない立場を確立することになりました。
こうして久美子は着々と【特別】に近づいていますが3年生になったらどうなるのでしょう...???というのが気になる人は『決意の最終楽章-前編-』を読みましょう!

高坂麗奈

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こいついつもここで吹いてるな(誓いのフィナーレ)
トランペットのエース奏者にして久美子の親友。
もはや無双の存在になっており、麗奈に憧れてる後輩もそこそこいるようです。悩める久美子の相談相手として時に鋭く有益な意見を与えてくれたりもします。今作では後輩の夢ちゃんの話がまるまる削られていたりリズと青い鳥の話がなかったりで出番が減っているのですが、それでも塚本に物を投げたり塚本を小突いたり主に塚本にちょっかい出すという形で出番を確保していました。というのは冗談で、先述の大吉山のシーンだけでも【高坂麗奈】の存在感は遺憾なく発揮されていたと思います。顔が良くて演奏能力も高いの、強キャラすぎる。

塚本秀一

トロンボーン奏者にして久美子の幼馴染。
冒頭は『響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部のヒミツの話』収録の『とある冬の日』からスタート。キービジュの一つがあれだったのでこれはまぁ予想できたのですが、これまで映像版で優遇されたことがほとんどない塚本秀一が良い感じのシーンに出てるという事実に感無量でした。トロンボーンの後輩にも人気っぽいし、気難しくて緑以外には心を開かないものかと思われていた求くんからも信頼されている様子を見せるなど良い先輩になってますよね。
久美子と付き合っている間は、本当によかったなと思うと同時に下手なことをしたら麗奈から物を投げられるのかわいそうと思っていました。麗奈にとって宝物みたいなものだから仕方ないね。

久石奏

久美子の後輩。
憎たらしいけど可愛い、という原作の注文を見事達成していました。さて、奏自身の特性として『みんな』を敵に回さないように上手く立ち回るというのがあり、そのポリシーに基づくならあの態度は直した方が良いんじゃないかと思うんですがどうなんでしょう。まぁ奏の一番の魅力はあんな風に気高く可愛い猫被りをしているその実、核がとても子供っぽいという点なんですよね。本当は未熟だからところどころ最善とは言い難い動きをしている、そんなところが久美子的には愛しいんだと思います。
そして、誓いの奏についてというならばオーディション中に血相変えた先輩たちに連れ出され雨に濡れ途方に暮れるシーンについて書かねばなりますまい。原作では前編のクライマックスでしたが期待通りの素晴らしい出来栄えでしたね。中学の頃の苦い過去から『下手な上級生』に対する最善策を出せないままオーディションを迎えてしまい、久美子に説教され化けの皮を剥がされます。久美子は北宇治の方針を振りかざして説得を試みますが、奏は情報通であるが故に既に卒業していた香織先輩のエピソードを知ってしまい『北宇治も実際は変わらないんじゃないか』という疑念を晴らせずにいました。そこで久美子は今一度【北宇治】を問い質すために目を瞑ります。

「本気で全国行こうと思うんだったら、上手い人が吹くべきだと思う」

現部長、誰よりも香織先輩のソロを望んでいた吉川優子でさえ『コンクールのためなら高坂(麗奈)が吹くべき』と考えていたという告白の回想が入ります。このシーン(2期3話)は新生北宇治の実力主義を象徴するところですし、あらゆる感情より部活の大目標が優先されるということを確認するにはこれ以上ない事例です。かくして奏もその事実を理解させられ、どんな境遇であれ本気で臨むという覚悟を決めます。本当に好きな場面です。久美子に泣き崩れるシーンの引きが例のあの場所だし。
奏は後になってから久美子に「はぁ?」とか「鏡をお貸ししましょうか?」とか散々失礼な発言した件について謝ったりするんでしょうか。久美子が優しいから成り立ってる関係だし、久美子は一度、フリでもいいので奏を突き放してみると面白いと思うんですが。これはSSの題材ですね。

吉川優子

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顔が金賞。
2年編の部長かつドラムメジャー。トランペット担当。義理堅く、友達想いで、物怖じせず思ったことを声に出すスッキリした性格。今作特に顔が良い。
...割と尺の犠牲になってしまったと感じました。。小説においては部長としての有能さを麗奈に褒められていたりとか、久美子を裏で操っていたりだとか、銀色のユーフォニアムの亡霊に呪われて頑張りすぎるところとか、頑張りすぎて決壊してしまうところとか、描写が多岐に渡っていて実質主人公なんですよ。大前提としてリズを削る時点で久美子との絡みが減るから久美子視点で優子の物語が映らなくなるのは仕方ないとしても、サンフェス以外でもあすかに呪われ重圧を感じている点はもっと重く描いてほしかったと思います*4。優子が崩れるシーンや積極的に久美子をトラブルに派遣するシーンがないと映画だけを見た場合に『吉川部長完璧超人やん』『本当に最善尽くしてるのに全国行けないのか』となり、コンクールの結果がひたすら理不尽なものに受け取られかねません。実際は『人間関係の摩擦を減らすためにところどころ妥協を許す』だとか『部内の均衡を保つ代わりに部長一人に負担が掛かりすぎていた』とかいう背景があって、確かに努力はしていたし前年度より完成度は上がっていたもののあと一押しで負けてしまったという結果に対する説得力がありました。
2年編の北宇治は吉川優子が作り上げた北宇治です。そして、それを語り尽くすために100分というのはあまりにも短すぎた。映画を見て良かったと感じた人は是非とも余すところなく優子の努力の軌跡が描かれた原作『響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章』を手に取ってほしいです。そしてそのあと『響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部のホントの話』を読んで【全て】を知ってほしいです。

中川夏紀

2年編副部長。ユーフォニアム担当。そして今作では、ギターも担当!!プチサプライズでしたね。
とにかく優しい人柄ゆえに奏を悩ませた存在。努力は報われる、ということで最後のコンクール出場機会をかけたオーディションに合格するんですが、夏紀のオーディションの演奏描写カットされるとは思ってなかったので驚きました。
大衆の面前で部長にツッコミいれる夏紀、これを待ってた感ある。楽器選びで奏が来たときの「ゆうこ~~」も中々打点高かったですね。というか今作では優子呼んでばっかりで久美子との絡みほぼなかったですよね...???なんだろう、久美子と3年生の絡みはノイズになるので極力削るみたいな指針があったんでしょうか。

傘木希美/鎧塚みぞれ

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青い鳥(誓いのフィナーレ)
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リズ(誓いのフィナーレ)
リズと青い鳥』のメイン二人組。
なんと今作一言もしゃべりませんでした(たぶん)。サンフェス直前でみぞれがポンポンでダンスしてるのツボった。そういえばダブルリードはガードでしたね。
セリフはなかったのですが、演奏は『リズと青い鳥』があったので例の第三楽章のコンクールバージョンが思いっきり流れました。みぞれ覚醒の瞬間は周りの生徒が圧倒され合わせられる人がおらず希美に至っては涙を流すほどの衝撃が走ったオーボエソロでしたが、コンクールにおいて希美はみぞれの珠玉の演奏を立派に支えることができていました。『リズ』の公開からおよそ一年越しの集大成となっているので(作中では1, 2か月ですが)感動するなという方が無理というものでしょう。希美とみぞれの共演という意味では南中の『ダッタン人の踊り』にまで遡るわけですから、そういう意味ではみぞれの方が涙を流しかねなかったのかもしれません。

鈴木さつき/鈴木美鈴

チューバの新入生二人組。コミュ力A/演奏力Dのさつきとコミュ力D/演奏力Aの美鈴。
この二人の対比は物語前半において奏と久美子のポリシーを映す鏡の役割みたいなところがありますが、当事者の美鈴としては日に日に部内の居場所を失うような錯覚に陥りストレスが加速しサンフェス直前で爆発します。兆候はあったので久美子が察知してリカバリーに向かうのですが、そのシーンだいぶ駆け足だったのと佐々木梓のボレロインパクトが強すぎて個人的には美鈴に対し原作ほどの印象が残りませんでした(ごめんね)。美鈴、かなりクレバーなキャラと思っていたので映画で本番直前に失踪するのは驚きました。パニックになったら何しでかすか分からない系なんですかね?普段は断然美鈴の方がクールだけど緊急時にはさつきの方が冷静だったりしたら何か良いですね。

川島緑輝/月永求

コントラバスの二人組。
求の苗字についてのやり取りで奏が驚いたような顔で緑を見ていたり、後半の源ちゃん先生のとこで久美子に目配せしたりしてるとこから緑は実はキレ者という描写がありましたが、小説版で緑が低音パートの面々を動物になぞらえるシーンが映画では求と奏くらいしか言及されてなかったのがちょい残念でした。久美子が狸とか面白いしやると思ってたんですが。
求の緑への崇拝的態度は声優さんの演技上手くて面白かったです。求が久美子に相談するシーンは、塚本の株を上げるために削られてましたね。でも源ちゃん先生とか出してるし求全カットじゃないってことは【次】を期待してくれよなっていうメッセージで間違いないですよね。ね!

加部友恵/小日向夢

トランペット3年とトランペット新入生。
夢ちゃんは出番全カットされました.......。顔は出てましたが、かなしい。
加部ちゃん先輩は思ったより出番あったんですが、それなら夏紀とのやり取りもやってほしかった。もなかの面々のリアクションで補ってはいましたが、やはり3年の金管で来年のコンクールA入りを約束した者同士の絡みが見たかった。尺が憎い。

さいごに

ここまでで書いた通り、見たいキャラやシーンが尺に削られたのは辛いですが作画や音楽、演出のクオリティは文句のつけようがなかったですね。さすがは京都アニメーションさん...。そして主題歌TRUEさんの『Blast!』。これまたすごい曲で歌詞がもう溜まらないです。ぜひシングル買ってFull聴いてみてください。
それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。原作、読みましょう。3年編も激アツですよ!

*1:梓の演奏映像って初出ですかね?少なくとも僕の記憶にはなくて、彼女が楽器を持って行進する姿が映ったときは危うく意識を失うところでした。

*2:冗談じゃなく、後輩もあと3人くらいトラブル解決してるし『リズと青い鳥』パートの希美とみぞれのトラブルも久美子が面倒を見る羽目になっています。八面六臂の久美子を見たい人は原作『波乱の第二楽章』を読みましょう!

*3:とつい最近まで考えていたのですが新刊『決意の最終楽章』の3年生久美子は割とあすかっぽくなってきており.......。

*4:キービジュから期待しすぎていた節はある。