『氷菓』感想やら ~波乱ある古典部の嚆矢~

こんばんは、minamoです。近頃の朝晩はびっくりするほど涼しく(むしろ肌寒く)季節の変わり目を全身で実感してます。

 

今回は前々からオススメされてた傑作(と言われている)『氷菓』のアニメを見たので色々書いておきます。

 

 

 

章ごとの感想

原作は物語ごとに本のタイトルが与えられているがアニメ版も各話ED前の英語字幕によって各シリーズに分割される。

氷菓』編 ~The niece of time~

1話から5話まで。物語の中核である古典部における各登場人物の紹介の後、最初の大きな【謎】である関谷純の秘密を解き明かす話。えるから二人きりで休日に呼ばれ秘密を共有し家にお邪魔し自室まで覗いてしまった負い目から奉太郎は深入りする必要のなかった『謎解き』を始めてしまう。強引に灰色世界*1から薔薇色世界*2へ連れ出された奉太郎は未だ自立的行動に対し消極的。

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4話における奉太郎による関谷純の謎解きについては『確定した事実に矛盾のないストーリーを補完してみた』という具合で確度はそこまで高くない推理と感じたが状況証拠が特殊なのでうまく行ったというところ。この『創作感』と『非難できるほどではないツメの甘さ』は次章へも波及する。

関谷純が『氷菓』に託したある種の遺言はえるの原点として影響を与えることになる。えるは気になることがあれば奉太郎に頼りっきりだがこの後の作品において合間合間でえるの核に叔父の一件が噛んでいることが分かる描写が存在する。

悲劇と言われる通り事件内容はそこそこシリアスだったんだけど解決編で奉太郎が書いた"I scream"が筆記体なのは不意打ちで笑ってしまった。初登場時から老成した雰囲気を湛えていた彼だがこのエピソードは一周まわってかわいく思える。そしてこのかわいくないようなかわいいような高1を古典部に誘導したのがその姉である供恵である。本編は奉太郎の「まさか姉はこうなることを全て見越して...?」みたいなセリフで幕を閉じる。終始高校生たちを超越したところから物語に干渉してくる供恵のキャラ配置を示して第一部完という感じ。

 

幕間:6話『大罪を犯す』7話『正体見たり』

短編が2つ挟まっている。

6話は怒ることがなさそうなえるが怒る話。テーマである【7つの大罪】とは暴食」「色欲」「強欲」「憤怒」「怠惰」「傲慢」「嫉妬」。奉太郎が「俺が犯す大罪は『怠惰』だけで十分に過ぎるというものだ」と口にするがこれがフラグになってしまったようで、以後彼は大罪スタンプラリーを始めることとなる*3

えるが毅然とした態度で先生に物申すところは氷菓編で言うところの『声を上げる強さ』に他ならない。

また、えるは大罪について以下の見解を示す。

「怒らないことがいいこととは思いません 傲慢や強欲も大事だと思うんです」

すなわち程度の問題であり、必ずしも悪いことではない。むしろ正の側面もあるはずだという主張だがこれは以降氷菓でちょいちょい出てくるタロットの二面性*4に通じてると思う。タロットのスタートラインであるところの『愚者』と謂われるだけはある。

 

7話は温泉回。どうもこの回は奉太郎とえるの親密度がやたら高く感じるので調べてみたらやはり時系列に多少のいじりがあった。奉太郎が温泉の向こう側の音を気にしていたり枕元の声を気にしていたり絶望的オタクの才能を見せているのがとてもよかった。

 

愚者のエンドロール』編~Why didn't she ask EBA?~

 8話から11話まで。女帝の異名で知られる入須先輩のクラスの出し物であった自主製作映画の脚本が倒れたことにより未完成となった物語の真実を古典部が探偵役となって探す話。

この話で重要なのはまぁ姉の息のかかった入須先輩が奉太郎の自尊心をボコボコにする点。えるの影響で謎解きを始め無自覚にも愉悦を見出そうとしていた奉太郎にとって、気分良くやってたとこに「お前は私の手のひらでよく踊ってくれた。楽しかったか?w」みたいなことを言われたらまぁ~~~~癪だろう。他の古典部メンバーもそれなりで、これまで奉太郎にしかできないような謎解きを見せられ魅入られてきたにも関わらずただ少しの違和感から奉太郎が間違っていると彼を責める。いや、冷静に福ちゃんと摩耶花は代替案があるわけでもないのに奉太郎の策にあそこまでズケズケ言う必要あったか...??友達ならもうすこし柔らかく伝えても良いと思った。

また解決編(11話)のえるの吐露は奉太郎にとっても僕にとっても衝撃だった。謎に直面した際えるは奉太郎と比べ当事者の心理的側面からアプローチする傾向があるが、今回もクラスという集団の圧力に対し潰れてしまった可能性のある本郷にいち早く着眼していた。奉太郎が無自覚にも『万人の死角』という創作を為し名探偵派の顔つきをしている隣でえるは本郷の心情を軸に彼女の描いたシナリオを考察するという真の探偵役になっていたのだ。

氷菓の一件から本郷に叔父や自分の姿を重ねていたことも彼女が探偵足り得た一因だろうが基本的にえるは他者を慮る優しさの権化である。入須先輩に良いように扱われていたことと自分のつけ上がりを知ってしまったことでグレていた奉太郎に対してもエピローグでえるが「折木さんも折木さんらしくないですよ?」と切り出し謎を尋ねる日常に戻らなければ奉太郎はしばらくの間鬱病モードだったことだろう*5

事後譚でいうともう一方、入須と姉のチャットがあった。

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このあと姉は返答することなくチャットルームを去るがその心はどうであったろうか。画像の前の会話で入須が「彼には悪いことをした」と言いそれに対し姉は「本当にそう思ってる?」と返していることを含めると姉は入須の心を見透かしたいというわけではなくむしろ入須より奉太郎のことを気にかけているように感じる。個人的には『お前は仲間を傷つけないようにあのバカを頼ったが、そのためにあのバカを傷つけるのは厭わないとは随分勝手な身分だな』と読んでしまう。姉にはブラコンであってほしい。シスコンなので。

その後姉から奉太郎にフォローがあった描写はないし文化祭で姉が入須をボコボコにするということもなかったので全くの妄想でしかないのだが、逆にノーヒントであるからこそこれくらいの妄想は許していただきたい。

 

クドリャフカの順番』編~Welcome to KANYA FESTA!~

 文化祭。12話から17話。誤発注により200部も届いてしまった文集を捌く解決法を模索しつつ祭りの中で発生した『十文字事件』を推理する話。

祭りらしくえるがいろんな出し物を見て回ったり*6福ちゃんが参加型イベントに出場してみたり*7これでもかというほど青春の迸りが描かれる。

さて、このシリーズが長めなのは事件の複雑さではなく事態の複合的展開に起因する。祭りを楽しむえる、楽しみつつも葛藤が肥大化する福ちゃん、文集の売れ行きとえるの写真を眺める奉太郎、そして漫研の先輩と険悪なムードになる摩耶花、さらには十文字事件が起こり...。全てが横一線にジワジワと進んでいくのでやや冗長に感じるところがあった。しかしそのぶん解決編(クライマックス)は強い。

 

まず摩耶花。彼女にとってこの文化祭は受難続きだった。

 

  1. 開幕前、古典部の文集の発注ミスをする。
  2. 漫研の先輩と揉め、同級生には嫌味を叩かれる。
  3. あったはずの『夕べには骸に』が見つからない。
  4. 料理リレー対決で大将を任されるもチームの中堅が食材を使い切る。
  5. 作品だけでなく服に絵の具をこぼされる。

 

まぁ〜酷い目に遭ってる。歪の者なので良い子が酷い目に遭うのはそれなりに好きなんだけど摩耶花は芯が強く決してへこたれないので普通に見てて辛かった。ボロ泣きとかしてたら「これだよこれ!!!!!!」ってなってたと思う(カス)。アニメ通して中々報われない摩耶花*8だけど折れないのは本当に素敵だと思う。折れてほしい気持ちもあるけども。

 

さて、次からは本編の一大テーマである『期待』を軸に数点書いていく。

 

千反田えるは入須冬美のように『期待』できない。

200部の『氷菓』を何とか売ろうと奔走するえるはその過程で入須式女帝学入門を教えてもらうが、どうにも柄に合わず調子がおかしい。校内放送を聞いた入須先生からは「お前が期待を操ろうとすると甘えているように聞こえてしまう」との評をいただく。激・かわいいのでオタクは釣れる*9と思うんだけども入須は今後えるがその振る舞いを続けると変な癖がつきかねずえるにとって良くないと判断しやめるように言う。

「単刀直入な言い方しかできないのはお前の弱点だが、他では得がたい武器でもある」

素直で純真なお前の方が素敵だという口説き文句である。うーん、これは女帝。

 

福部里志折木奉太郎に『期待』する。

17話の解決編において、これまで散りばめられていた伏線を奉太郎が鮮やかに回収し犯人に辿り着くところを目の当たりにする福ちゃんの表情は複雑だった。入須からは『心からではない』期待と賞賛を受けた奉太郎だが福ちゃんは紛れもなく『心から』奉太郎に期待している。そして、彼の期待に関する持論は以下の通りだ。

「どうも彼はね、『期待』って言葉を軽々しく使いすぎる。自分に自信があるときは『期待』なんて言葉を出しちゃいけない。...期待っていうのは諦めから出る言葉なんだよ。そうせざるを得ない、どうしようもなさがないと空々しいよ」

 過去の積み重ねから彼は自分と奉太郎との間にあるどうしようもない差を理解している*10。だが、「勝ちたいわけじゃなかったけど、見上げてばかりじゃね」と思う心も捨て置けないわけで非常に心が痛むシーンだった。彼の心を解する摩耶花が彼の服をそっとつまむところは切なさの臨界点である。

かくして福ちゃんは「データベースは結論を出せないんだ」という口癖に立ち返るのだった。

 

・河内亜也子は安城春菜に期待できない。

誰やねんって思った人が多いんじゃないだろうか。僕もフルネームは調べないと分からなかった。河内先輩は漫研で摩耶花と揉めた人で、安城春菜は『夕べには骸に』の原作者。

安城にとっての処女作であった『夕べには骸に』の出来が良すぎたため、彼女より前から漫画描きに携わってきた河内はその才能の差を認められず途中で本を閉じ押し入れの奥にしまい込む。

「だってさ...読んじゃったらさ、電話しちゃうじゃない。でも電話してさ『読んだよ、あんたスゴいじゃない!次も期待してるよ!』なんて言えないじゃない...ね?」

『読んだらすぐ電話しちゃいたくなるほどの』親友であった相手に対して期待=どうしようもない差というものを感じたくないというのが河内の心だ。嫉妬のような負の気持ちを友達に向けたくない、だから読むことはできないという悲劇である。

そんな河内が手すりに描き残したロゴは摩耶花が「やっぱりコレもいい...私のは百枚落ちる」と感じた『ボディトーク』のものだった。摩耶花は自分からしたら十分な逸材である河内が更なる高みに対し一連の葛藤を秘めていたことを知って涙せざるを得なくなる。これだ。一人残されやりきれなさに(周りに誰かいるときには決して流さない)涙を流す摩耶花、これが見たかった。

 

 ・田辺次郎は陸山宗芳に絶望する。

 田辺次郎は十文字事件の犯人で陸山宗芳は生徒会長にして『夕べには骸に』の作画担当。安城同様圧倒的才能を持っていた陸山が『夕べには骸に』以降ペンを握らないことに対し、彼のような力を持たない田辺が業を煮やし十文字事件によって口には出せないメッセージ『陸山。お前はクドリャフカの順番を読んだのか?』を伝えようとする*11。だが陸山がその意図を汲むことはなく、前作を超える名作になるかもしれなかった『クドリャフカの順番』が生まれることはなかった。

「ムネは、安城さん渾身の原作を開いてすらいなかった。暗号は解かれなかった。メッセージは、伝わらなかったよ...」

 ここの力なさげな田辺は心底絶望している感があって凄みがある。特異な才能を持つ人間にやる気を出させることもできなかった彼の虚無は如何にして埋められるのだろうか。河内先輩と田辺先輩についてはアニメでは以降出番がないため救いがないまま終わってしまうこととなる。アーーーーーメン。

 

と、4ペアについて『期待』をキーワードにした関係性が展開されていた。キーワードは『才能の有無』にも置き換えられる。

  • 交渉・人心掌握に長けた入須と上手くやれないえる。
  • 謎解きの推理力がある奉太郎と結論を出せない福ちゃん。
  • 処女作で圧倒した安城と呑まれかけた河内。
  • 気まぐれで名作を描いた陸山と足元にも及ばぬ田辺。

才能という眩しすぎる輝きに中てられる高校生ってテーマは本当に飽きない。

 

遠まわりする雛』編~Little birds can remenber~

18話から22話は短編となっている*12

さて、ここからは基本はんなりラブストーリーでありパソコンの画面やキーボードを破壊さんとする己の衝動との闘いだった*13

 

18話『連峰は晴れているか』

奉太郎や摩耶花たちの中学の教師であった小木正清の記憶を思い返していると気になる点が出てきた奉太郎と『奉太郎が気になった事案が気になった』えるによる図書館デート。今まで平気でランデブー下校していたのに奉太郎が突如意識しはじめ「先に行っててくれ」などと供述するのに対し豪農の令嬢は「二人乗りでもいいですよ」と建設的提案を投げかける。まぁ無理なので結局先に行かせるのだが「なぜ今日は一緒に歩かないのか」とえるが気にならないのは理由にある程度の察しがついているからとしか思えない。

さて、今回の話における謎は小木正清が授業中に1度だけヘリを気にしていたのがなぜなのかであった。奉太郎は彼の落雷伝説からすぐに登山へ結びつけ、登山家であるならば救難ヘリを気にしていたんじゃないかと推論を立て早急に図書館へ事実確認に向かう。何の緊急性もない事案で、そもそも奉太郎が微塵の義務もない行為を自発的に行うということで福ちゃんと摩耶花は青ざめるほど心配する。この心境の変化はえるの影響で奉太郎も少しはマトモな人間に近づいたのだと前向きに捉えることもできるし事実そういう面もあるんだが、本質的にはややネガティブ面が強いと思っている。というのも、奉太郎は入須先輩の一件で自信を失っていた。そしてえるの介護やクドリャフカの謎を解いて復活してきたところにこの話が来た*14とすればこれは『自分の推理が間違ってるかもしれない』という強迫観念を振り払うための行為に映るのだ。突然図書館に寄ると言い出した理由を福ちゃんに説明する奉太郎の言葉は「気になる」ではなく「気が済まない」と聞こえた。まぁこれは単なるオタクの斜な読み方に過ぎない。なんだかんだ他人には甘いが自分の願望には(めんどくさいというスタンスを取りつつも)ある意味ストイックな奉太郎が狭義の自己都合で行動したというのは衛宮型の英雄志向に堕ちないという点でもキャラクターにとって喜ばしい変化だろう。

 

あとこの回に出た些事だけども豪農千反田家にてえるが椎茸栽培にハマっているそうなので椎茸そんな好物じゃなかったけどちゃんと食べるよう心がけます。

 

19話『心あたりのある者は』

部室デート。何かしらんけど福ちゃんたちがいないから二人きりではんなりタイム。二人きりのタイミングをえるは逃さない。

「あの、折木さん、もし良かったら叔父にお線香をあげていただけませんか?」

「俺がか?」

「はい。近々、叔父のお墓参りに行こうと思っているんです」

「その、良かったら...ご一緒に」

 関谷純、死して姪のデートのダシに使われるのを是とするか否か。かくして墓参りデートを取り付けたのだが今回の話はソレではなかった。奉太郎が自信の推理能力が特別でないことをえるに納得させるべくよく分からん校内放送の原因を適当に推理してみるというもの。推理モノとしてよくできていると思ったが『書面での謝罪で名前を書かなかった人間が校内放送の呼び出しでヒョコヒョコ出てくるか?』という疑問が残った。即時的には身元をバラしたくないと思っているのに自分が関知しない間に学校側に事件が伝わっていることを放送で知ったら普通ビクついて名乗れなくなるような。まぁいいか。

 

この話のえるが妙にかわいいからである。

 

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1,2枚目の困り顔と3枚目、この話の中で2回目の急接近。どこかえるの仕草や表情の幅が広がっている気がするのは恐らく気のせいじゃなく、部室に奉太郎しかいないからだろう。天然といえど入須先輩並みの接近巧者なんじゃないかなぁ。才能と言えるかもしれない。

 

20話『あきましておめでとう』

密室デート。これはマズい。基本的に閉鎖空間*15が大好きなので密室なんて言われたら転がりまわるに決まっている。

あらすじはざっくりいうと、えるから初詣デートに誘われた奉太郎がホイホイ出て行ってはんなりしてたらいつの間にか境内の納屋に閉じ込められてたというもの。

「私も着物を見せびらかしたいんです」

そう言って見せびらかされた着物がこちら。これには僕も奉太郎も絶句してしまうが奉太郎には「似合ってる」くらいのことを言ってほしかった。えるも言われたかったんだろうなぁと思うと切ない。

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さて。閉じ込められてから奉太郎は納屋の壁をブッ壊す提案をしていたがその頃の僕は自室の壁と床をブッ壊す勢いだった。異常事態に対しえると奉太郎はドキドキしていただろうが2人を見る僕が間違いなく一番ドキドキしていた。

正直この話に限っては脱出のための知略とかど~~~~でも良くないか?できるだけ窮地に追い詰められてほしかったし何なら脱出してほしくなかったくらいなんだけどもそうもいかなかったようで、あきましておめでとうじゃぁないんだよって溜息ついてた。加えて、暖を取れずに寒いって話なのに奉太郎がえるに服を貸す展開がなかったのは心底残念。クリシェと言えども外せない展開だろうよと思いながら壁を殴っていた。

 

この話、大好きです。

 

21話『手作りチョコレート事件』

福部里志、、お前。。最終話1つ前は中学以来摩耶花からの積極的アプローチに対して適当な返事しかしてこなかった福ちゃんが高1のバレンタインでついに決断を迫られる話。チョコを盗むことでチョコを受け取る事実を回避するという荒業のためには丹精込めて作ったであろう手作りチョコを砕くことすら厭わない福ちゃんの姿勢に奉太郎はブチギレ寸前。この怒り*16さえ以前の奉太郎にとっては余計な感情だったんだろうなぁと思ったり。

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摩耶花の努力を知っているからこそ盗まれたことに本気で憤るあまり目のハイライトがなくなるバーサーカーモードのえるめっちゃ良い。

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さて、福ちゃんが今まではぐらかしてきたのは彼の哲学が理由だった。奉太郎の鬼気迫る表情を前に独白が始まる。

「昔の僕は勝つために勝ちたがっていろんなことに拘った。つまらなかったね。それだけ勝ちたがって勝ってもつまらないんだから始末におえないだろ?面白い勝ち方をしなきゃ面白いもんか。で、ある日僕はそれに飽きた。拘らないことに拘るようになったんだ。それからは本当に楽しいんだ。毎日がハッピーさ。でも一つだけ問題があった。摩耶花だ。摩耶花はいい。ほんとに良いよ。あんな子他にいない。その摩耶花が僕に一緒にいてほしいなんて夢みたいな話さ」

「なら...!」

「だけどだよ。僕は摩耶花に拘ってもいいのかな。僕は間違いなく摩耶花と一緒にいたい。でも拘りたくないんだ。全部僕のわがままだよ。摩耶花の気持ちなんて考えてない。あまりにも自己中だと思わないかい?摩耶花を蔑ろにしたくないのに。それに今の気楽さを手放して摩耶花を受け容れてしまったら昔の自分に戻ってしまうかもしれない。それを怖がってしまう」

ニュアンスが漏れないよう全文抜き取ったが、要は彼女と彼女以外の部分の折り合いを上手くつけられる自信がないというだけの贅沢すぎる自己都合。奉太郎は福ちゃんを一発くらい殴っても良いと思ったが意外たるや次の一言である。

「僕と摩耶花の誤算は、千反田さんだったよ」

実は福ちゃんがチョコを盗むことは摩耶花も想定しており部室でのやり取りはえる以外の全員が茶番を演じていたのだった。奉太郎は盗まれたと聞いた瞬間のリアクションから摩耶花が芝居に気づいてるんじゃないのかと疑ってそうだったし殴る手が止まる一因にならんこともなさそうだ。

女子サイドでは摩耶花がタネ明かしをしたことでえるも事実を知る。その後えるは奉太郎から「チョコはちゃんと渡したからな」という電話を受けるがその返事ではえるもまた芝居を打つことになったわけで結果的に全員が事を荒立てないための茶番に加担することになった。

かくかくしかじかで福ちゃんは摩耶花に電話を掛けるんだけども肝心の通話内容と具体的な事の顛末を伏せるあたり憎い演出。最終話の様子を見るに福ちゃんは踏み込めたんだろうけどそうすると愛の詰まったチョコレートを砕いた残虐行為を一生後悔することになるわけで、彼がどのくらい追い詰められたのか僕、気になります*17

器用貧乏の恋愛、これも中々ハズれないテーマだなぁと思った。

 

22話『遠まわりする雛

最終回。えるの豪農イベントに奉太郎が代理キャストとして出演。雛祭りの雛役としておめかししたえるを傘持ちオタクと化した奉太郎は接近を良いことにその後ろ姿をガン見もガン見。さらには。

「千反田が見えない...千反田が、見えない!」

「気になる...。気になる!もしいま紅を差し目を伏せている千反田を正面から見られたら、それはどんなにか...」

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オタクくん、モノローグがオタクすぎる。初見の感想が「あぁ...」だったし完全にガチ恋の様相を呈している。

行列が終わった後は見物に来ていた福ちゃん摩耶花との会話に続き、男雛に扮していた入須先輩とも遭遇する。

「そうか、君なら謎を解いてみせてくれると思ったのだが」

「やめてください」

「折木くん。あの時の私には役目があったが今日はただの男雛だ。こんな気楽な身から虚言は出ないよ」

愚者の一件で完全に苦手意識を持っていた奉太郎だったが、入須先輩が純粋に評価してくれたこの会話でようやく呪いから解放されたように思う*18

この話の事件は雛祭り行列がある人の策略で通常ルートでない迂回路をとらされるというものなのだがこの犯人の動機もまた『桜の狂い咲きを浴びる雛が見たかったから』とかいうありえん楽曲派のそれで素敵だった。

 

 

さて、本番はラストシーンだろう。えるが自らの生まれ育った冴えない地元を奉太郎に紹介したところで2人は立ち止まり。

 

 

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「ところで、お前が諦めた経営的戦略眼についてだが、俺が修めるというのはどうだろう」

 

 オタクくん、会心の告白である。楽曲派にも程があるだろう。

 

と思ったらこれは喉から出なかった。オイオイオイオイオイ。どれだけ焦らすんだこの作品は。希望に満ちた春の訪れを以て物語は閉幕するが余韻が完璧すぎてたまらなかった。

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 登場人物ごとの感想

ストーリーのほうで随分書いたけども人物について考えるとまだ書き余すところがあるので追記程度に書いていく。

折木奉太郎

序盤の奉太郎は灰色の人間とされていたが、こういう薔薇色の対極にいることを自覚している系の主人公が持ち合わせている潜在的な薔薇色への羨望や嫉妬、嫌悪などの関心が一切ないという演出がされていた。事実前半においては『見目麗しい』と言われるえるに接近されても大した反応も見せずただ彼女の干渉から逃げるように策を弄するばかりであった。休日に2人で会うよう呼び出されようが心底めんどくさそうな顔をしていたりとあまり見たことがないマジの厭世派で物珍しさに期待を寄せていたんだけども5話冒頭でもう「隣の芝生は青く見える」と言って薔薇色に寄り始め最終話では桜吹雪まみれになりもはや原点喪失と言っても過言ではない別人になってしまった。えるにガチ照れする奉太郎もかわいくて見てて面白いんだけども序盤のマジ虚無太郎が我を貫くのも見てみたかった。発展性のカケラもないが。

もう一つ奉太郎の特性として『貸し借り論』がある。親しき中にもとは言うけれど一番近い人間の福ちゃんにさえ1年近く前の出来事の借りを返済するとか言っちゃうし本人が来たいと言ってついてきたことで帰りが遅くなってしまったことにも「借りかな、これは」*19とか言っちゃうのは重症じゃなかろうか。これは他人に依存した結果痛い目を見た人間の特徴だ。理屈をつけないと他人を頼ることができない。恐らく原因になったのは姉かあるいは中学同期だろう*20。完全に妄想だけども気になるなぁ。

気になるといえば、2話で「金曜日なら図書当番は恐らく...」と摩耶花のシフトを把握していたのは何だったんだろう。その後で「久しぶりだな、会いに来てやったぞ」「アンタここで本借りたことないでしょ」と図書館常連のセンは否定されている。入学から1カ月ほど経っているのだから同じクラスならこの時が高校入学以降初顔合わせということは不自然。シフトを把握しているという面からは奉太郎も図書委員というのが自然だがこれもまた図書館のシステムを知らなかったことや摩耶花との再会発言に矛盾する。謎だ~。

 

推しのセリフは

「仲間のために殉じて全てを赦す。そんな英雄がそうそういてたまるもんか」

5話『歴史ある古典部の真実』より。

 奉太郎はお人好しである自覚がない。

「千反田が何に怒り、何に喜ぶのか。それを知るには俺はまだコイツを知らなさすぎる」

6話『大罪を犯す』より。

「...千反田か?」

7話『正体見たり』より。

 1つめは本人の目の前で頭の中ではこんなこと考えているというもの。まぁ~オタク。そして2つめ。これは温泉において、わずかな物音から壁を隔てた向こう側の状況を推測しえるの姿をはっきりイメージするという恐るべきオタクの想像力が凝縮されたセリフである。当然のぼせてひっくり返ったわけだが奉太郎の執念がもたらした念写が僕ら視聴者にえるの温泉姿を見せてくれたのだから感謝しなければなるまい。敬礼。

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千反田える

ヒロイン。豪農千反田家の令嬢にして高1らしからぬ気品に溢れる黒髪を靡かせながらもその双眸は純朴な好奇心に満たされ燦然と輝いている。つまりかわいいんだな。「奉太郎を頼ってばかりいないでたまには自分で考えろや」*21とか「もう少し大人しくしとけや」とか思うところはよくあってもそのたび「可愛いから全てを許す」という結論に行きついた。絶妙な自分本位と急に現れる母性が強すぎる。

それなりの箱入りで育ったようで奉太郎への感情を自覚する(顔を近づけたときに照れるようになる)まで少し時間が掛かる。パーソナルスペースが激狭いのを自覚してないのはともかくあの急接近を敢行する相手が奉太郎に限られているというのが無意識の好意というか本能的吸着というか、とにかくとてもポイント高い。自覚以降はというと時折いじらしさの怪物となり果て僕を殺しに来ていた。

こんな感じで基本的にマイナス点なんてないんだが県内でも上位に入る成績という序盤に明かされた設定が還元された割合が少ないのが残念なところ*22。成績が芳しくなさそうな奉太郎に対し頭脳派としてマウント取ってほしかった。あるいは勉強特訓回とか。まぁ生まれ柄もあって教養や語彙力は申し分ない*23のは会話を聞いていてストレスがないので良いこと。というかえるに至っては話し方(発声方法?)や言葉遣いも上品なのでたまに気圧されるまである。

そんな彼女の推しのセリフは、

「まだ日が高いですね、少し川辺をお散歩しませんか?」

11話『愚者のエンドロール』より。

いやいや、こんな上品な下校デートの誘い文句ある?こんなん断れるわけないやんか。他に予定あっても全部干すわ。

「確かに10年後の私は気にしないしれません。でも今感じている私の気持ち、それは将来どうでもよくなっているかもなんて、今は思いたくないんです。私が生きているのは今なんです」

5話『歴史ある古典部の真実』より。

刹那主義という高校生活の本質を射抜く素直な言葉。『全ては古典になっていく』という冷酷な現実への反抗。確かに高校を卒業してしまうと高校生活は古典と形容すべき静的な美術品として眺めることしかできなくなるが、この日常がいつか石化するか否かは置いといて今を鮮やかに生き抜いていればひとまずオールオッケーだろうという活気溢れる主張だ。

もう一つこれも挙げておこう。

「実はですね、兄弟がほしかったんです。姉か弟。気のおけない相手がいつも側にいるなんて素敵だと思いませんか?」

7話『正体見たり』より。

はい、弟に立候補します。冷静にえるが姉にいて豪農で暮らす生活、人生安泰でしょ。何で僕は豪農千反田家長男に生まれなかったんだ...。

 

千反田家に接近したついでに『千反田える』という何やら不思議な名前の由来について書いて終わる。何か意味あるのかもと思ってググったところ、ある仮説が挙げられていたので確かめてみるべくとあるプログラムを書いてみた。

 

 

#include <bits/stdc++.h>
using namespace std;
int main(){
char name = 'A';
for(int i = 1; i <= 1000; i++){
cout << i << "tanda" << endl;
name = (name == 'Z') ? 'A' : name + 1;
}
return 0;
}

 

 

何のこっちゃいと思うだろうがこれを実行すると↓のような結果が出てくる。

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(中略)

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お分かりいただけただろうか。アルファベットをAからZまで並べ、Zまで来たらまたAへ戻るということを繰り返したとき、1000番目が'L'になる。"1000 tanda L"すなわち『千 たんだ える』と読めるのだ。

要は1000%26=12*24というだけの話だが実際に全部書き出してみるとちょっと感動する。

プログラミング知らんけどって人も下のリンクを開いて上のコードを貼り付けて左上の"Execute"を押すと右側に実行結果が出てくるので良かったら。

https://www.tutorialspoint.com/compile_cpp_online.php

 

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こんな感じ。

この仮説が本当の理由かは不明っぽいけど真偽問わず良くできた話だと思う。何でこんなの気づいたんだろうな...。

福部里志

序盤は「何だこいつ」としか思わなかったけれども中盤以降の掘り下げで伸びに伸びた。作中一番悩んでいたのは彼だろう。話が奉太郎の主観で進んでいても福ちゃんの悩みが溢れてくるが、元々福ちゃんは他人に対し見栄を張るタイプだ。弱い部分が表面に出てくるということはそれだけ追い詰められているということで、そういった点も奉太郎に「お前は器用なのに不器用すぎる」と言われる理由なんだろうな。

福ちゃんをざっと説明すると、推理の才能を持つ奉太郎に憧れたまに嫉妬しつつも、どうすれば自分は最高にハッピーな生き方ができるかを探す求道者といったところ*25。あらゆる方面に首を突っ込み見聞を広めデータベースを自称できるほどの含蓄を備えるスペックは中々スゴいと思うが意外に成績は芳しくないようでいつも追試にかかっている。普段は趣味に明け暮れ友達も多そうだが何にせよ浅く広く楽しんでおり、深さを競ったら摩耶花にもすぐ追い抜かれてしまうだろうと自己評価している。いつもどこか俯瞰的な考え方話し方をする福ちゃんだが、奉太郎を見上げて首を痛め心を病み卑屈になってもおかしくなかったのに(多少の愚痴をこぼしつつも)奉太郎の友人という立場を覆すことが一度もなかったのはとても素敵だと思う。この二人の距離感はともすれば奉太郎とえるの距離感よりも奥深いものが潜んでいるように感じることがある。

推しのセリフは

「冗句は即興に限る。禍根を残せば嘘になる」

飄々とした彼の話し方には何らかの不文律の存在が読み取れるが本人の口から出てきた主義の一つがこれである。かなりのマシンガンスピーカーなのに冗談を言えば全て即興だというのだから恐れ入る。言われてみれば温めていた冗談を別の場で披露するなんてことはしないなぁと思いつつ、福ちゃんは冗談以外の会話についてもできるだけ即興的な進行を心がけているように感じる。クレバー。

 

伊原摩耶花

古典部の中ではスペック的に一番普通の高校生っぽい摩耶花。先輩との人付き合いや恋といった普通の悩みを抱えているがポジティブな性格のおかげで笑顔が絶えることがほとんどない。前向きな子っていいよね。

 

摩耶花への補足はやっぱ奉太郎との関係性かなぁ。中学から福ちゃんガチ恋だったのは置いといて、なぜああまで奉太郎を毛嫌いしている素振りだったのか。2話とか前半の方から奉太郎が華麗な謎解きをしてみせると(一瞬だが)えるのように目を輝かせていたり後半では彼に感謝することもあったりと摩耶花は理不尽に相手を嫌ったりはせずむしろ相手の良いところは素直に評価する良い子である。そんな摩耶花に再会した時あんな反応をされる奉太郎は中学時代に一体何をしたというのか、気になって仕方がない。

推しのセリフは

「ほんっっっとムカつく!でもそんな福ちゃんをまだ好きな自分が一番ムカつくーっ!!」

21話『手作りバレンタイン事件』より。

 熱病に悩まされるJK、世界で一番好きなもの。

折木供恵

姉。僕は基本的に姉が好きなのだがこの姉も例に漏れずに好きだ。顔こそ出てこないが各長編において要所要所で現れる活躍っぷりは、古典部の4人の高校生っぷりと比較して遥かな高みにいる存在という感じがしてとてもいい。

手紙を送ってきたり電話してきたり、文化祭を見に来たりチョコをくれたり、なんだかんだ弟のことをかわいがってる感が半端ない。奉太郎が「どの分野でも勝てる気がしない。まぁ勝とうとも思わないが」と評している通り愚者編では地球の裏側から入須の思惑を看破し文化祭では新聞を一瞥しただけで十文字事件を解いたりとスペックは作中最強と言って過言ではない。強い姉って良くないですか?

推しのセリフは

 「きっと10年後、この毎日のことを惜しまない」

海外周遊中、奉太郎に送られてきた手紙の一節。えるが目標として将来の自分が見返しても悔いのないように今を生きると言ったのに対してこちらは断言である。こう言い切れるほどの思い切りのいい性格と行動力を備えているのは羨ましい。

入須冬美

古典部界隈では敵なしと思われた奉太郎*26に対しある種のストッパーとして現れたのが入須先輩だと思っている。奉太郎は元は謙虚だったものの薔薇色への干渉の手立てとして謎解きをするうちに無自覚に増長してしまったところ最悪のタイミングで入須先輩と出会ってしまった。愚者編は本当にタイミングが悪かったと思っていて、もう少し早い段階であの話に入っていたら奉太郎はもう少し冷静に慎重に事態を見極めていた気がする。

奉太郎が好きすぎて彼の話をしてしまった。入須というと特徴は女帝と呼ばれる所以であるところの人心掌握術だ。掌握といえば人聞きが悪いが入須は少しエゴも入っていても基本はトータルで集団にとってプラスになるようにその才能を振りかざしているリーダー気質。こと本郷については姉にはああいうふうに言われたもののプロジェクトと同時に本郷を守ろうとしたと言っても矛盾のない行動をしていたと思う。根が悪人の高校生なんていないんですよ。

推しのセリフは

「心からの言葉ではない。それを嘘と呼ぶのは君の自由よ」

 やはり、奉太郎のプライドをへし折ったこの言葉だろう。姉の協力により差し出された人形を最大限利用し踊らせた入須の手腕は見事だったが踊らされたほうはたまったもんじゃない。これで奉太郎は入須先輩にトラウマレベルの苦手意識を抱えることになってしまった。

 

音楽

この作品は視覚情報が強いんだけど音楽もめちゃくちゃ良い。

劇伴

『シシリエンヌ』:シシリエンヌ 氷菓(Hyouka) OST 9. - YouTube

『G戦場のアリア』:氷菓 OST - G線上のアリア / G弦上的詠嘆調(Aria) - YouTube

『無伴奏チェロ組曲第1番ト長調』:無伴奏チェロ組曲 第一番 氷菓(Hyouka) OST 1. - YouTube

『月光』:月光ソナタ 1 楽章 氷菓(Hyouka) OST 13. - YouTubeソナタ 月光 第三楽章 氷菓(Hyouka) OST 17. - YouTube

クラシックからの引用が上の数曲。この中だとカフェ密会シーンや愚者編文化祭編の余韻で使われるシシリエンヌが好き。

オリジナルだと↓の4曲を挙げとくけどまぁ他のBGMも全部いいよ。

平穏なる日々のくり返し 氷菓(Hyouka) OST 42. - YouTube

解決ながらも暗然 氷菓(Hyouka) OST 43. - YouTube

男女の間に流れる美しい空気 氷菓(Hyouka) OST 52. - YouTube

Kumori tte haiiro de omotai sunawachi yuutsu 氷菓(Hyouka) OST 16. - YouTube

 

OPED

優しさの理由/ChouCho:青春を全力で歌い上げるシンコペーションの効いた爽やかな曲。映像も相まって導入(「退屈な窓辺に~」)が強い。サビの構成が割と天才。推しのフレーズは『君が過去になる前に見つけるから』。

 

まどろみの約束/千反田える(佐藤聡美)、井原摩耶花(茅野愛衣):女子二人によるラブソング。歌詞がめちゃくちゃ甘い。古典部のメンバーは性格が古典派なんだけどもこの歌もまぁ平安的というか聞いているこちらがむずがゆくなるような言葉が並ぶ。中でも推しのフレーズは『放課後はいつでも特別な空間で 一緒にいなくても隣にいる気がする』

 

未完成ストライド/こだまさおり:イントロはKANA-BOONっぽいな~と思ったけど中身は全然似てない。優しさの理由より落ち着いているので掴みはそんなに強くないけどジワジワ好きになってくるスルメ曲。OP映像はこっちの方が好きだったり。推しのフレーズは『止まれないまま走れ 向かい風も追い越して』

 

君にまつわるミステリー/千反田える(佐藤聡美)、井原摩耶花(茅野愛衣):好奇心を音に変換したようなワクワクした音作り。気になる気になる!っていう2人がかわいくて仕方がない曲。映像も強い、文句なし!!!!!推しのフレーズは『恋なんて正解じゃ 君はまだ腑に落ちないね』

 

あとがき

総括としては高校生の青春というバカ強いテーマを超高水準で描かれたらまぁ刺さるわなという感じ。キャラクターの内面、キャラデザ、作画、音楽、全部強いってズルやん。まだ2年生になるってとこだし続編的なアレを生きてるうちに見たいな~。

さぁ、真剣に書いてたらそれなりの量になってしまった。1話ごとに書いているような密度で22話まとめて書いたからこんな感じになるのは仕方ないとはいえ単純に疲れてしまった。読む方もつかれたと思います。全部読んでくれたひとありがとうございました。それではまた!

 

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このカットめっっっちゃすき。サムネにします。

*1:本来の奉太郎のモットー『やらなくていいことはやらない。やらなければならないことなら手短に』に従う世界。

*2:えるによって導かれる世界。

*3:「暴食」:不明。「色欲」:7話『正体見たり』、『クドリャフカの順番』でえるの写真を盗み見るなど。「強欲」:22話『遠回りする雛』で豪農千反田家を治める妄想をするなど。「憤怒」:『愚者のエンドロール』にて入須先輩と自身の傲慢に激昂。「怠惰」:恒常。「傲慢」:6話『大罪を犯す』でえるの心を読みきったつもりになりかけたり、10話『万人の死角』で正解に辿り着いたと思い込んだり。「嫉妬」:薔薇色への羨望。隣の芝生。

*4:正位置と逆位置。

*5:この奉太郎の幼さに付き合ってあげるえるたその図、非常におねえちゃんみがある。1000000000点。

*6:12話『限りなく積まれた例のあれ』。この様子は『夜は短し歩けよ乙女』における黒髪の乙女の学祭回遊を想起した(えるの方が先)。

*7:13話のクイズ大会、14話の料理対決。

*8:『イバラ』の道。

*9:少なくとも僕は釣れる。10部は買う。

*10:ここで中学時代の福ちゃんが『勝つためにはなんだってする』性格であったことを思い出そう。恐らくどこかで『諦める』瞬間があったのだ。

*11:原作は安城の手によって書かれていたが陸山はウンともスンとも言わない。「やる気あんのか」とはとても言えないので回りくどい仕掛けをすることにした。十文字事件の仕掛けは『クドリャフカの順番』がベースとなっているので原作を読んでいたら陸山は必ずメッセージに気づくはずだった。

*12:正確には18話『連峰は晴れているか』は原作では別の巻収録らしいが一話完結なのでまとめてしまう。

*13:たぶんこの短編のどっかでキーボード叩いた影響で't'の反応が悪くなった。無論、千反田の't'である。

*14:短編なので長編との相関がそこまで考えられているかは怪しいが、全部考えられているって思った方がオタク的に得である。

*15:部室・部活あるいは学校くらいの単位から、進撃の巨人や宝石の国みたいな閉鎖社会まで

*16:純粋な里志への怒りの他に摩耶花を心配するえるを傷つけたことへの怒りという保険が掛けられているのが巧妙。

*17:すぐに摩耶花かワンチャン奉太郎からのフォローが入るから重症にはならない。

*18:逆に愚者編で奉太郎を乗せた発言が『虚言』とまで言い切られるのもアレな気がするけど...。

*19:18話『連峰は晴れているか』。

*20:摩耶花が中学時代の奉太郎に良くない印象を抱いている点はポイントだと思ってる。

*21:愚者編では真の探偵になっていたり、最終話では愚直ながら自分で正解に辿り着いていたり色々考えてはいる。

*22:記憶力とかは使われてたけど、視力聴力と同列の野生スペックのように感じられる。

*23:というかこの作品は年齢の割にみんなの教養と語彙のレンジが広すぎる。古典部員は全員本の虫っぽいという裏付けはあるけども。

*24:1000をアルファベットの個数26で割った余りは12の意味。アルファベットの12番目は'L'だからこういう結果になる。

*25:奉太郎は『似非粋人』と紹介していたがそこまでしっくりこない。

*26:当の奉太郎は戦うつもりなど毛頭ない。