プリンセス・プリンシパル 8話感想 ~CからAへ、AからCへ~

プリンセス・プリンシパル8話の感想です。ネタバレ注意でお願いします。

 

今週はというと、『ようこそ実力至上主義の教室へ』の原作読者で軽井沢推しの俺は木曜日放送のアニメ7話における絶望的改変を目の当たりにして茫然自失、感想記事を書く気にも起こらなかったという事件が起こっていた。

推しの一番推せるシーンの一つをまるまる他のキャラクターに取られるというショックは並大抵のものではなく、数日経ってもどこかしら気分は落ち込んでいた。

そんなところで訪れたこのプリンセス・プリンシパル8話はさながら蜘蛛の糸であり、沈みきった気分を天上まで引き上げてくれた。

 

大変読み苦しい長い前置きになったが、とどのつまり神回だったということである。

 

・#08 case20 Ripper Dipper

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ナンバリング進行予想は正解。ただし今回の回想で10年前の話が出てきたのでcase0回収はなさそう。

"Ripper Dipper"は『切り裂くものと掬うもの』といったところ。前話の毒ガス犯は切り裂きジャックのオマージュだったけどここでRipperの文字を選択。

含意としては東西を分断する両国の争いとそれを繋ぎなおそうという意思を汲むアンジェとシャーロットだろうか。Dipperは下層貧民を掬い上げるアンジェのことも指せる。

 

・任務に名乗りを上げるシャーロット

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当然アンジェは反対するけども「プリンセスなんかやってるとたまに無性に外に出たくなる。アンジェなら、分かってくれるでしょう?」という殺し文句で希望を通す。

したたかさがシャーロットの魅力の一つだけどもアンジェが言う通りこの言い方はアンジェに対しては少しズル過ぎる。かつての王女だったアンジェの同じ希望によって今のシャーロットは王女をやらざるを得ない状態になっているのだから。

 

・ベアト「アンジェさんってどうして姫さまにだけは弱いんでしょうか?」

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ドロシーなら【惚れた弱み】とか言うかと思ったけど存外適当なことを言っている。

ドロシーといえば書き損ねていたことが一つあって、5話でのドロシーと7の会話において「私はチェンジリング作戦の担当のはずだ」みたいなセリフがあった。何が問題だっていうとチェンジリング作戦は2話でアンジェとシャーロットがうまく動いたことでシャーロットとコントロールの間の【取引】という結果に収束させたはずで、シャーロットが共和国のスパイを暴いた以上正面からの計画遂行は破綻しているのだ。かみ砕くと、チェンジリング作戦は一旦停止したはずがコントロール(及び少なくともドロシー)は継続の意思を絶やしていないということ。シャーロットをグレーとしアンジェにも多少の疑いが掛かっているとはいえ現状からチェンジリング作戦を行うにはシャーロットの同意(当人もアンジェも条件にシャーロットの身の安全を確約させないと動かない)を得るか強引に消すかの二択。後者はアンジェが絶対に許さないので実質一択で、前者については議論の場を設ければ取引が成立した後にすぐにでも始められただろうに腰は動いていない。それどころか今回のように本人たちが勝手に入れ替わったりしている。これではチェンジリング作戦と仰々しく銘打つ必要もなさそうに見えるので先ほどのドロシーと7の会話は非常に不自然に映ったのである。

本人たちの意思確認が取れていてジワジワと(穏便に)入れ替わる準備を進めているのであればいいのだが、それにしては寄り道任務が多すぎるように思う。よく分かんない。

 

・今回のふたり

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毎回イチャイチャパートを用意するルールが制定されているらしく、大変よろしいことだと感服している。

シャーロット「前から聞いてみたかったんだけど、どうして私のこと『プリンセス』って呼ぶの?」

アンジェ「黒トカゲ星のしきたりよ」

シャーロット「まじめに答えて」

アンジェ「安心して、嫌味とかじゃないから」

シャーロット「じゃぁ、なに?」

アンジェ「...ただの敬意よ」

 

・重圧の彼方に

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真相が知れたら殺されるという状況の中、ただの少女が王女を演じきるという離れ業を、血反吐が出ようがかまわず必死にこなしたシャーロット。手綱を握る手が震えているのがとても良い演出だった。この努力・精神力に対する思いがアンジェの【敬意】なのだ。プリンセスという5文字に内包される苦労を、7歳の子供の時点で嫌というほど実感していたアンジェだからこそ、その後の10年プリンセスをやってきたシャーロットに対する畏敬の念は深いわけで自分と入れ替わったがためにそんなことをさせてしまったことを後ろめたくも思っていた。頭が上がらないのも仕方がない。まぁシャーロットさんはアンジェ大好きだしいくら大変だろうとアンジェを恨んだりは全くしてないだろうけども。

あと1枚目の大佐、お若いw

 

・吐露

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シャーロット「私はからっぽだから...。外側から塗り固めないとダメなんです」

楽しんでいないことを見抜かれた彼女は珍しく本心らしき感情を吐きだす。

からっぽと言えば東京喰種:reにおいて有馬貴将、平子丈、白滝などなどたくさんからっぽと言われてる人がいるけども、あの作品で【からっぽ】は【繋ぎとめておかないといけない人】というニュアンス*1。だがシャーロットは先述の通り強靭な精神力を持っている上にアンジェが現れたことでしっかりと繋ぎとめられている。そもそも【女王になって壁を壊す】という目標は10年前の約束という布石があるとはいえシャーロットの強い意志に基づくものだから彼女は決してからっぽじゃないとアンジェは最後の場面で伝える。

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ただこの時点での本人の認識の話である。元が元なのでそう考えてしまうのも納得ではある。外側から塗り固めるというのはスパイでいうところのカバーに似ており、嘘で全てを覆うアンジェに類似している。正反対なのは今も昔も立場だけであり、性格なんかはこの二人はよく似ていると思う。

回想を通して2,3話とのリンクが取れたので書いておく。

 

10年前

シャーロット「ねぇ王女さま。わたしたち、友達になろうよ!」

アンジェ「わたしはつまらない子よ。お友達になっても楽しくないと思うわ」

シャーロット「ううん、楽しい!」

アンジェ「どうして?」

シャーロット「わたしたち、正反対だから!」

~~~

アンジェ「アンジェ、わたし女王になる」

シャーロット「え?」

アンジェ「アンジェと入れ替わったおかげで、わたし分かったの。みんなを分ける、見えない壁がいっぱいあるって。私は女王になってその壁を壊してやるの。そしたらアンジェ、わたしとあなた、ずっと一緒にいられる!」

シャーロット「すてきな夢だね」

アンジェ「夢じゃないわ。わたしはきっとかなえてみせる!約束する」

 

現在(#02 case1 Dancy Conspiracy #03 case2 Vice Voiceより

アンジェ「アンジェ。私と、友達になってくれませんか?」

シャーロット「私はつまらない人間よ?お友達になっても楽しくないと思うわ」

アンジェ「ううん、楽しい!」

シャーロット「どうして?」

アンジェ「私たち、正反対だから!」

 

~~~

シャーロット「言ったでしょ、あなたの力で私を女王にしてほしいの」

アンジェ「まさか、あの時の約束...」

シャーロット「壁がなくなれば私たち、晴れて一緒にいられるでしょ」

 

見返したけどもこのあとシャーロットが「アンジェ!」って言うところやっぱ「シャーロット!」の差し違えな気がするなぁ...OP入り神なのにミスだとしたらとてももったいない。

 

 ・ジャパニーズ・ニンジャ

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コウモリかよ?チセさん、ブレないなぁ。風邪ひかないでほしい。

 

 ・偽名変遷

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アンジェの名前はここまで

・シャーロット(Charlotte):本名。王女時代。

・アンジェ(Ange):入れ替わった女の子の名前。現在は主にこれで通している。

・アリス(Alice):洗濯屋さん潜入(#07)のときのカバーネーム。

・クロエ(Chloe):ジュリに名乗った(#08)ときの偽名。

これが副題で触れているCからAへ、AからCへというもの*2。愚直に受けるならばこれはチェンジリングの進行を意味してると思う。

 

・証拠隠滅

ジュリたちを虐待の境遇から救う&ジュリの身柄をより安全な孤児院へ移送して万一ガゼルに消されたりしないように対策といったところか。

ジュリは別れ際に視聴者への素晴らしい置き土産として革命の瞬間の黒トカゲ星の話をアンジェから引き出してくれる。内容は既に触れた通り、シャーロットの苦悩と尋常ならざる努力の話である。

 

オライリー

今回の任務も消化試合のようなもので、この人は恐らくプリンセスに言われるがまま従うほかなさそうだ。ガゼルサイドの具体的な目的は不明だが彼の亡命と引き換えに行われうる何らかの取引を阻止することはできるだろう。船の上(#04 case09 Roaming Pigeons)でもそうだったけどアッサリ自分の立場を「スパイです」って言っちゃうお茶目なシャーロットかわいい。驚かせたくて仕方がないんだろうね。

 

・世界一尊い連弾

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俺も趣味でピアノ弾くけども高校のとき以来連弾してないなぁ。そんなことはどうでもいい。17歳のこの二人が身を寄せあって楽しそうにピアノを弾いている、この尊さの原液を絵具にして描いたような絵を楽しむのが何よりも重要だ。

 

・まとめてきな

今回は10年前の本質情報が盛りだくさんで素晴らしいことこの上なかったわけだけども、何よりもシャーロットのオリジンが見られたのが大きいかな。したたかさの裏で何を考えているか分からないという声も多かった中、その核となる部分をこの話は照射していた。

アンジェとは姉妹じゃないのかというところについては

・似てるのは偶然。出自が違うのは明らか説

・似てるのは必然。シャーロットの出生に問題(妾の子とかそういうの)があったために生まれた直後に捨てられた説

・似てるのは必然。彼女たちは双子であったが同い年の王族がいることによる王位継承権争いなど後に起こりうる面倒を避けるべく一人を捨てた説*3

とかがパッと思いつく3案。現時点ではアンジェもシャーロットも他人の空似という認識をしているようだけども果たして真相やいかに。さして重要じゃないから触れないかもしれないが。

次の話はそろそろノルマンディー公との対決に近づいたりその中でアンジェの空白期間(革命からメイフェア校に潜入するまで)の回想とかしたりってとこか。

ほんとに観ていて楽しいアニメ。BD1巻にはアプリのキャラクターのシリアルコードもつくらしいし購入不可避か~。

ではまた来週!!読了ありがとうございました。

 

 

*1:東京喰種:re11巻参照。ロザリオは生きる理由であり重たい枷である。

*2:AからCっていうとアクセルからクラッチを連想する。。MT免許取るまであと3日、つらい!!

*3:王族における双子が不吉というのは歴史的にもよく言われていた。